伝えきれなかった
「乗鞍岳」の魅力を、
多言語で伝える

中部山岳国立公園・乗鞍岳山頂に位置する「乗鞍岳頂上小屋」において、訪日外国人登山者・観光客の満足度向上と情報格差の解消を目的に、最新のデジタル技術と多言語対応を活用した情報提供体制の整備を行いました。
山岳地域という特殊な環境下において、安全性・快適性の向上とともに、自然や文化への理解促進を図る取組です。
【事業概要】
Q.どのような課題があり、本事業を活用しようと思ったのですか?
近年、乗鞍岳には多くの外国人観光客が訪れるようになっていました。
しかし現地では多言語による十分な情報提供ができておらず、
・登山ルートが正しく伝わらない
・植生保護エリアに立ち入ってしまう
・高山植物の価値が伝わらない
といった課題がありました。
こうした状況を受け、環境整備と情報発信を同時に進める必要性を感じ、本補助金を活用した取組を実施することとしました。
Q.その課題に対して、どのような事業を行いましたか?
多言語解説看板の設置、動画の作成と配信、多言語リーフレットの作成、公式ウェブサイトの整備を行いました。

Q.事業を進める上で、工夫した点はありますか?
多言語解説看板は、外国人登山者にも日本の高山自然環境を深く理解してもらえるよう、視覚的な分かりやすさを重視してデザインしました。
乗鞍岳を代表する高山植物(コマクサ等)や野鳥(ライチョウ、イワヒバリ)の写真を配置し、付記したQRコードから多言語(英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語)で詳細情報を取得できる仕組みを取り入れています。
また、国立公園特別保護地区の景観と調和するよう、過度な色彩を避け、木材の風合いを生かした配色としました。
動画は、乗鞍岳の豊かな自然環境、とくに高山植物やライチョウの生態系を、インバウンド観光客および国内登山者に伝えることを目的として制作しました。
単なる景観紹介にとどまらず、標高3,026mというスケール感や厳しい環境下で営まれる生命の姿を映像化しました。
国立科学博物館・村井研究主幹による解説を、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語で多言語化することで、国際的な認知向上と自然保護意識の啓発につながる構成としています。
リーフレットは、インバウンド観光客の増加に伴い、乗鞍岳(剣ヶ峰)へのアクセスや登山ルート、自然保護ルールを、正確かつ親しみやすく伝えることを目的として作成しました。
特に、高山植物やライチョウなど地域固有の自然資源を紹介することで、環境保全への理解と安全な登山につながるよう意識しています。
乗鞍岳頂上小屋公式ウェブサイト内に、国立科学博物館・村井研究主幹監修による学術的かつ魅力的なコンテンツを集約した特設ポータルページ(ランディングページ)を構築しました。
動画やデジタル図鑑、現地看板、リーフレットと有機的に連携させ、多言語で展開することで、インバウンドを含む登山客の満足度向上と、自然保全への理解促進につなげることを意識しています。



「乗鞍岳雲上デジタル図鑑」では、15種類の植物、5種類の動物の高精細写真や生態などを紹介


乗鞍岳の植生・生態系をじっくり解説するドキュメンタリー映像となっている
小屋前に設置されたタブレットで閲覧することもできる
親しみやすい手書き風イラストで図解
利用ルールをピクトグラム付きで分かりやすく記載
Q.事業実施後、どのような変化がありましたか?

来訪者のルート理解が進み、トラブル防止につながるとともに、自然観察への関心が高まりました。
また、植生保護エリアへの立入抑制など、マナー向上にもつながっています。
Q.本事業の効果について、どのように感じていますか?
自然環境保全への理解促進と、来訪者満足度の向上の両立が図られたと感じています。
安全対策と魅力発信を同時に進めることができました。






現地で多言語解説看板を確認する来訪者
Q.今後、期待される取組や展望はありますか?
多言語化をより効果的に活かすため、山域だけでなく麓を含めた広範囲でのWi-Fi環境整備が進むことを期待しています。
情報へアクセスできる環境が整うことで、さらなる利便性向 上と自然保全の両立につながると考えています。

